マテリアルリサイクルとは?3つの課題や流れも紹介します
「マテリアルリサイクルってなに?」
「どんなものがリサイクルできるの?」
上記のような疑問をお持ちの方もいると思います。
結論、マテリアルリサイクルは中古の製品を原料として再利用する方法です。プラスチックを中心に、金属製品やガラス、木くずもマテリアルリサイクルの対象となります。
本記事では、マテリアルリサイクルの分類や抱えている課題について深掘りして解説します。
マテリアルリサイクルの詳細を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
マテリアルリサイクルとは?
マテリアルリサイクルとは、廃棄物を新たな製品や材料に再生するリサイクル方法です。
具体的には、古紙を新しい紙に、ガラスやプラスチックを再利用可能な材料に再加工するなどのプロセスを指します。資源の有効活用と廃棄物の量を減らすことに貢献します。
マテリアルリサイクルは使用済みの製品を有効活用するため、汚れが多かったり異物が混入してたりすると、悪質なリサイクル製品ができてしまいます。
ごみを出すときは自治体のルールに則り、きれいに洗い、分別することを心がけましょう。
マテリアルリサイクルの2つの分類
本章では、マテリアルリサイクルの2つの分類を紹介します。
- レベルマテリアルリサイクル
- ダウンマテリアルリサイクル
それぞれ詳しく見ていきましょう。
レベルマテリアルリサイクル
レベルマテリアルリサイクルとは、リサイクル可能な物質をそのまま同じ製品の原料として再利用するリサイクル方法です。
廃棄物を原料にして、同種の製品を作ります。
たとえば、古紙から再生紙を作ったり、鉄くずを溶かして鉄のインゴットなどに再生させたりします。
ダウンマテリアルリサイクル
ダウンマテリアルリサイクルは、廃棄物が元の製品と同等の品質を維持できない場合に、品質レベルを一段階下げて、異なる製品の原料として再利用するリサイクル方法です。
この方法は、原材料が元の製品の品質基準を満たさない場合や、原材料の性質が変化して再利用が難しい場合に使用されます。
具体的な例としては、使用済みペットボトルを原料として衣類にリサイクルしたり、デザートカップや洗剤ボトルを再利用して公園のベンチやパレットを作ったりします。
マテリアルリサイクルの具体例8選
本章では、前章までに紹介したマテリアルリサイクルの具体例を8個紹介します。
- ペットボトル
- プラスチック
- ビニール
- 金属製品
- 木くず、がれき
- 缶
- 古紙
- ガラス
それぞれのリサイクルの方法について詳しく見ていきましょう。
ペットボトル
ペットボトルは回収後、異物を取り除き、細かく砕かれ、洗浄され、脱水・乾燥されます。
その結果、PET樹脂ペレットという再生原料が生まれ、新たな製品へと生まれ変わります。
衣類やカーペット、文房具、各種容器など、多種多様な製品がペットボトルから生まれるのです。
プラスチック
レベルマテリアルリサイクルで再利用されるだけでなく、ダウンマテリアルリサイクルを通じて衣類、卵パック、食品トレイ、ラミネート包材などに変わります。
具体的なプロセスとして、回収後に洗浄し、粉砕してフレーク状にします。フレークは再利用の原料となり、新たな製品が生産可能です。
ビニール
ビニールは、異物混入の影響をあまり受けず、農業用ビニールハウスやパイプなどさまざまなアイテムへとリサイクルされます。
タイルカーペットやパイプは、レベルマテリアルリサイクルによって同じ製品が作られる一方で、ビニールハウスは、ダウンマテリアルリサイクルにより、床材に生まれ変わります。
金属製品
金属製品の中でも、アルミ缶はマテリアルリサイクルに使用されます。
回収されたアルミ缶はフィルムや塗料を剥ぎ、高温で熔解して再生地金にします。この地金を加工し、新たなアルミ缶や自動車部品などが作られるのです。
また、ボーキサイトというアルミ缶の原料から新たにアルミ缶を作る場合と比べ、リサイクルによる方法では97%ものエネルギーが節約されます。
木くず、がれき
木くずやがれきは、細かく砕いた後、再成型されてパーティクルボード等の建材に生まれ変わります。パーティクルボードは壁や床、屋根の下地材、さらには家具素材として利用されることが多いです。
また、アスファルトやコンクリートのがれきも同じくリサイクルされ、再び建築材料として生まれ変わります。
缶
廃棄された缶は再生工場で処理され、建築用資材などの鋼鉄製品に生まれ変わります。
回収された缶は高温で熔解し、不純物を取り除き、再生スチールとして成型されます。
古紙
回収された古紙は、異物と分別された後、圧縮・梱包されます。圧縮・梱包されたものは、製紙メーカーへと送られ、トイレットペーパー、新聞紙、再生紙といった製品に再生されます。
ガラス
ガラスボトルは破砕され、新たなガラス製品の原料となります。
また、破砕したガラスは建築材料や道路舗装材としても利用されます。
マテリアルリサイクルの流れ
マテリアルリサイクルの流れは大きく分けて4つのステップから成り立っています。
- 収集:廃棄物の収集が最初のステップです。家庭や事業所から出る廃棄物は、定期的に収集され、処理施設へと運ばれます。
- 分別:収集された廃棄物は分類されます。例えば、ガラス、プラスチック、金属、紙などの種類によって異なるリサイクルプロセスが必要となります。
- 処理・再生:分類された廃棄物はそれぞれ適切なプロセスで処理されます。例えば、古紙は新しい紙に、ガラスやプラスチックは再利用可能な材料に再加工されます。
- 製品化:再生された材料は新たな製品として製造・販売されます。これらの製品は消費者に購入され、再び使用されます。
上記の流れは、資源の有効活用と廃棄物の量を減らすために重要です。また、それぞれのステップはエネルギーと環境への影響を考慮して行われ、持続可能な社会を実現する一助となっています。
マテリアルリサイクルの3つの課題
マテリアルリサイクルは、資源を無駄にしない画期的なリサイクル方法であるのと同時に、課題も多い方法とも言えます。
そこで本章では、マテリアルリサイクルの主な課題を3つ紹介します。
- 日本での普及率が低い
- 品質が劣化する
- リサイクルコストがかさむ
マテリアルリサイクルの課題を正しく理解して、より広く普及させるための方法について考えてみましょう。
日本での普及率が低い
現在、日本でのマテリアルリサイクルの普及率は、まだ低い傾向があります。
日本では、リサイクルに関する意識が高いにもかかわらず、マテリアルリサイクルの普及率はそれほど高くありません。これは、リサイクル施設が十分に設けられていないことや、リサイクルのための具体的な指導や教育が不足していることが原因と考えられます。
プラスチックのリサイクルにおいては、分別や再利用のための設備が不足しているため、多くのプラスチックが焼却処分されてしまっています。
マテリアルリサイクルを普及させるには、リサイクル施設の増設や教育の強化が必要でしょう。
品質が劣化する
マテリアルリサイクルにおける大きな課題は、リサイクルされた素材の品質が劣化する可能性があることです。
マテリアルリサイクルは、廃棄物を再利用できる素材に戻しますが、この過程で素材の品質が元の状態よりも劣化することがあります。これは、再利用のたびに物質の純度が下がり、性質が変わるからです。
例えば、紙をリサイクルする際、何度もリサイクルを繰り返すと、紙の繊維が短くなり、その結果、新しい紙の品質が下がることがあります。
品質の劣化はマテリアルリサイクルの課題で、リサイクルプロセスの改良や、新しいリサイクル技術の開発が必要となります。
リサイクルコストがかさむ
マテリアルリサイクルの課題として、リサイクルに伴うコストがあります。
マテリアルリサイクルは、廃棄物を回収し、新しい製品に再利用するためには、分別、洗浄、再加工などのプロセスが必要です。
これらのプロセスには技術的な手間とコストが発生します。加えて、リサイクル設備の設置費や維持費・人件費もかかります。
そのため、マテリアルリサイクルをより効果的に行うためには、リサイクルプロセスの効率化や、リサイクルに関する技術の進歩が求められます。
まとめ
本記事では、マテリアルリサイクルの具体例や抱えている課題を紹介しました。
結論、マテリアルリサイクルは素材を再利用するリサイクル方法のため、次第に素材の質が低下していくデメリットがあります。他にも、リサイクルコストがかさむことや、知識不足がゆえの普及率の低さが課題として挙げられます。
利根川産業は、マテリアルリサイクルに力を入れている廃棄物収集運搬業者です。自社設備が充実しているので、収集運搬からリサイクルまで一気通貫したサービスを提供できます。
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監修
利根川 靖
株式会社利根川産業の二代目経営者。業界歴20年で東京都廃棄物の組合理事も兼任。
廃棄物業界を盛り上げようと地方の業者と連携。得意分野はITツールにて生産性を高めること。
これからの若い人材が業界で働きたくなる魅力づくりに奮闘中。