ペットボトルリサイクルの課題とその解決方法であるボトルtoボトルを解説|日本の回収率や各メーカーの工夫は?
最近各飲料メーカーは、使用済みペットボトルからボトルを再生する「ボトルtoボトル」の取組を加速しています。レジ袋、ストロー問題など世界的に脱プラスチックの流れが加速する中、プラスチックを含有量が高いペットボトルへは風当たりが増しています。海洋プラスチック問題のアイコンともなっているペットボトルですが、2050年には海のプラスチックゴミが魚の総量を超えるとも予測されています。
弊社は東京23区を中心とした廃棄物収集運搬及び処分リサイクル会社であり、年間数千トンもの廃棄物を適正に運搬・処分している会社であり、首都圏全般の事業系ペットボトルを多く扱うリサイクラーでもあります。
今後ペットボトルに関してはSDGsなどサスティナビリティーの観点から、植物由来の原料を使用したバイオマス容器の利用拡大、資源の排出抑制、有効活用、循環利用、CO2排出量の削減を通じて環境に配慮していかなくてはなりません。
ペットボトルをリサイクルする際の問題点
まず、ペットボトルをリサイクルする際の問題点について紹介します。
具体的には、下記の3つがペットボトルをリサイクルする際の問題点として挙げられます。
- ペットボトルの回収コストがかかる
- ペットボトルの他に異物が混ざる
- ペットボトルのラベルを剥がすことが面倒
ペットボトルをリサイクルすることは限られた資源を活かし、地球を守ることに繋がりますが、問題も抱えています。
次に、それぞれの問題点について、詳しく解説します。
ペットボトルの回収コストがかかる
ペットボトルをリサイクルする際には、回収するためのコストがかかってしまう点が問題点として挙げられます。
ペットボトルを回収する際にはゴミ回収のための人件費や、ゴミ収集車の燃料費などがかかってしまいます。
また、ペットボトルを定期回収してもらう際には、ゴミ収集業者と定期回収の契約を結ぶための費用も必要です。
環境を守るために大切なことであるものの、ペットボトル回収にかかるコストは自治体や事業者が負担しなければなりません。
ペットボトルの他に異物が混ざる
ペットボトルをリサイクルする際には、ペットボトル以外の異物が混ざってしまう点も問題点として挙げられます。
ペットボトルのリサイクルボックスで回収するのはペットボトルだけが望ましいものの、中にはビンや燃えるゴミを混ぜて排出する方がおられます。
ペットボトルの中に異物が混ざってしまうと、本来必要のない分別作業が発生したりそもそもリサイクルができなくなったりしてしまうため、大きな問題になっています。
ペットボトルのラベルを剥がすことが面倒
ペットボトルをリサイクルする際に、ラベルを剥がすことを面倒と感じる方も多いのではないでしょうか。特に、ペットボトルが複数本ある場合は時間がかかってしまいます。
ペットボトルをリサイクルする際は、基本的にラベルを剥がすことが推奨されています。
近年では、ラベルが貼られていないラベルレスボトルが活用されているものの、ペットボトルのラベルを剥がす作業は面倒なためペットボトルリサイクルの課題として捉えられています。
弊社のペットボトルリサイクルについて紹介
下記の動画では、ペットボトルリサイクルの詳しい方法を紹介しています。
利根川産業でリサイクルを行うメリットや具体的なリサイクルの流れも解説しているので、業者選びがスムーズになるのではないでしょうか。
利根川産業でペットボトルリサイクルを行うメリットは以下の3つです。
- キャップとラベルを完全フレーク化できる
- フレークを100%国内化繊メーカーに販売している
- 再生品でありながらバージン同様の品質で、様々な実用品へリサイクルできる
利根川産業では、ペットボトルと一緒にキャップやラベルを同時にリサイクルすることが可能です。そのため、キャップやラベルの分別作業をしていただくことが不要といった特徴があります。
さらに、ペットボトルフレークを100%国内の化繊メーカーへ販売しているため、資源利用の面で無駄がありません。利根川産業で処理するペットボトルは全てリサイクルされているため、環境への不可が少ないと言えます。
また、フレークの品質も高く、バージン同様の品質で服やタオルなどの様々な実用品へ加工することができる点も利根川産業でペットボトルリサイクルを行うメリットです。
お問い合わせは下記のバナーをクリックし詳しい情報をお知らせください。
【最新】日本のペットボトルリサイクル率は86%
PETボトルリサイクル推進協会の「PETボトルリサイクル年次報告書2022」によると2021年度の日本国内のペットボトルリサイクル率は86%でした。
PETボトルリサイクル推進協会の目標は85.0%のため、目標を達成することができています。
一方で、欧州のリサイクル率は39.6%(2019年度)、米国は18.0%(2020年度)しかリサイクルがされていません。
日本は世界でトップクラスにペットボトルのリサイクル率が高い国と言えるでしょう。
容器別生産シェア
2020年の容器別のリサイクル率は下記の通りです。
ペットボトル飲料 |
76.0% |
缶詰飲料 |
11.1% |
紙容器飲料 |
8.5% |
その他飲料 |
3.4% |
びん詰飲料 |
0.9% |
ペットボトル飲料のリサイクル率がもっとも高くなっています。
ペットボトルリサイクル率・回収率
2019年のペットボトルリサイクル率と回収率は以下の通りです。
回収率 |
93.0% |
リサイクル率 |
86.0% |
有効利用率 |
98.0% |
日本国内のペットボトル有効利用率は98.0%です。
PETボトル推進協会では、2030年までに100%を目指しています。
ペットボトルの発生源
2019年の家庭系と事業系で分けた時のペットボトル回収割合は以下の通りです。
事業系回収 |
54.0% |
家庭系回収 |
46.0% |
ペットボトルの特徴(ポリエチレンテレフタート)
ペットボトルの特徴は下記のようなものがあります。
ペットボトルリサイクル問題の解決策として注目されているボトルtoボトルとは
水平リサイクル~同じ材料を資源循環させる理想のリサイクル
- 化石由来資源削減
- CO2削減
リサイクルペットボトルは、新たに石油由来資源を使ってつくられるバージンペットボトルと比較して、約60%のCO2排出量の削減が期待できると言います。
ペットボトルリサイクルをボトルtoボトルで行う際の課題
次に、ペットボトルリサイクルをボトルtoボトルで行う際の課題について解説します。
事業系ペットボトル回収量と品質の向上
事業系ボトル:自動販売機横ゴミ箱、工場、オフィス、サービス業、交通機関、教育機関など
異物:タバコ、酒類、生活関連、食品容器、食品、その他
状態:飲み残しのない、キャップ、ラベルが剝がされているもの
異物が混入すると、ボトルtoボトルへの歩留まりが悪くなります。異物や状態のよい綺麗なボトルを回収することが重要です。
全国清涼飲料連合会の目標
一般社団法人全国清涼飲料連合会は、70の会員と240社からなる中小清涼飲料製造・販売業者・清涼飲料製造・販売業者の団体です。
2030年までにボトルtoボトル比率で50%を達成することを目標として宣言しています。
全国清涼飲料連合会の具体的な目標は以下の3つです。
- 新たな化石由来資源の使用から地上にすでにあるものを水平リサイクルへ
- 2020年のリサイクルPET樹脂使用率の業界平均は約12.5%
- CO2削減を通じてカーボンニュートラルへ
カーボンニュートラルの詳しい説明は、以下の通りです。
カーボンニュートラルとは、ライフサイクルにおけるカーボン(二酸化炭素)の排出量を、ニュートラル(中立化)にすることを指します。簡単に言うと、地球上で生み出されるCO2(二酸化炭素)の量と、植物の光合成などによる二酸化炭素の吸収量を同じ量にして、実質的なCO2(二酸化炭素)排出量の「プラスマイナスゼロ」を目指す概念です。
2020年10月26日、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする(※)、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言しました。
環境省HPより
ペットボトルのリサイクル率を上げるための飲料メーカー各社の工夫
サントリー
2022年にはリサイクル率を50%まで高めることを目標としています。
石油を原料とするプラスチックが年4500トン削減でき、二酸化炭素(CO2)の排出量も年6200トン減らせます。
コカ・コーラ
2022年までにリサイクルPET樹脂使用率50%、2030年までにPETボトルへの新たな石油由来原料の使用をゼロとすることなどを目指しています。全体では年間約35,000トンのCO2排出量を削減できる見込みです。また、石油由来原料から作られる新たなプラスチック量を約30,000トン削減可能です。
伊藤園
2025年までに「お〜いお茶」ブランドの全ペットボトル製品を、100%リサイクル素材等(生物由来素材を含む)に切り替えることを目指すと発表しています。
アサヒ飲料
2030年までに、プラスチック製容器包装(PETボトル、ラベル、キャップ、プラスチックボトル)の全重量の60%にリサイクルPET、植物由来の環境配慮素材などを使用することを目指します。
大塚HD
リサイクル原料や植物由来原料を使用することによって、グローバルにおける持続可能なPET原料の割合を2030年までに50%、2050年までに100%にすることを目指します。
キリンビバレッジ
同社は「キリングループ環境ビジョン2050」の中で「リサイクル材やバイオマスなどを活用した持続可能な容器包装の開発と、容器包装の持続可能な資源循環システムの構築」を掲げており、2027年にはペットボトルのリサイクル樹脂比率を50%に、2050年には100%にする「キリングループプラスチックポリシー」を設定しています。
ボトルtoボトルを推進する工夫
ラベルレスボトル
2018年にアサヒ飲料が業界に先駆けてネット販売用に水を販売したことから始まりました。
それ以降、ラベルの剥がす手間やプラスチック環境意識などの高まりから徐々に広がりを見せています。2021年これまでラベルレス製品は、法定表示を外装ダンボールに記載していたため箱売り中心でしたが、タックシール採用で、ついにバラ売りできるようになりました。
リサイクルしてラベルロゴ コカ・コーラー
上記の画像のように、ラベルにリサイクルを推進する文章が書かれています。
新デザイン、自動販売機横リサイクルボックス
自動販売機横回収ボックスの入り口を新しいデザインとして異物混入防止策を図り、異物の混入率が43%から29%へ大幅に減少しました。
まとめ
昨年の菅首相が国会の所信表明演説において2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすると宣言しました。そこからSDGsを含め環境活動にスポットライトが当たるようになったと感じています。実際の肌感としてお取引先からSDGsに関する相談も増えてきました。
飲料容器として広く普及しているペットボトルは、そのわかりやすさからもっともリサイクルに適したプラスチックの一つです。プラスチックは何種類もの素材がありリサイクルには各種素材ごとに分別することが必須となります。ボトルtoボトルを業界目標の50%に達成させるためにはまだまだ乗り越えなくてはいけない壁が多いのではないでしょうか。
回収率は93.0%と世界的に見ても高水準であり、リサイクルの基盤はできています。排出別割合の54%を占める事業系ボトルをいかに生かしていくかにかかっています。
弊社は事業系ボトルを多く扱っており、品質も千差万別です。お客様(収集運搬業者様)にもご協力いただき、異物の混入を最小限にとどめていただき高品質なペットボトルフレークの製造を行っております。主力は繊維ルートですが、ボトルtoボトルルート、シートルートとペットボトルにおける全リサイクルルートを確立しております。
家庭からだけでなく、仕事場、公共施設などにおける個人の意識を高め分別の徹底、排出方法の工夫、技術の発展などを通じて循環型社会への貢献とCO2を含む環境負荷低減に向けて取り組んでいかなくてはいけません。
お問い合わせは下記のバナーをクリックし詳しい情報をお知らせください。
監修
利根川 靖
株式会社利根川産業の二代目経営者。業界歴20年で東京都廃棄物の組合理事も兼任。
廃棄物業界を盛り上げようと地方の業者と連携。得意分野はITツールにて生産性を高めること。
これからの若い人材が業界で働きたくなる魅力づくりに奮闘中。