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2021.08.23 SDGs

各社の廃棄物担当者様必見!!SDGsを有利進めるマル秘テクニック3選

各社の廃棄物担当者様必見!!SDGsを有利進めるマル秘テクニック3選

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の考え方が普及してきている昨今、以前にも増して「リサイクル」に対するお問い合わせが多く寄せられる様になって参りました。

ほとんどのお客様(排出事業者様)は、既に何らかのリサイクルを行っておりますので事実上「頭打ち」の状況なのではないでしょうか?

それでもいくつかの「裏技」が御座います。SDGsは単にリサイクル率を上げるだけではありません。あれもこれもやっているが、もう少し何とかしたい。

そこで、本記事では、「SDGsの効果を上げるべき3つのポイント」を取り上げたいと思います。

1 食品リサイクル方法の検討

様々な食材

食品リサイクル法とは

「食品の売れ残りや食べ残しにより、又は食品の製造過程において大量に発生している食品廃棄物について、発生抑制と減量化により最終的に処分される量を減少させるとともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用するため、食品関連事業者(製造、流通、外食等)による食品循環資源の再生利用等を促進する。」(農林水産省のホームページより)という趣旨で、年間100tを超える食品残渣を排出する事業者に義務付けられています。

リサイクル方法

  • 食品循環資源
    食品廃棄物であって、飼料・肥料等の原材料となるなど有用なもの
  • 再生利用
    食品循環資源を飼料・肥料・炭化の過程を経て製造される燃料及び還元剤・油脂及び油脂製品・エタノール・メタンとして利用し、又は利用する者に譲渡すること
  • 再生利用等
    発生抑制、再生利用、熱回収(乾燥・脱水・発酵・炭化)

通常の食品残渣物であれば、堆肥化・飼料化・メタンガス化が一般的ですが、SDGsの流れを受けて同じ食品リサイクルでも最も「GHG」(温室効果ガス、Greenhouse Gasの略称。)の発生の少ないメタンガス化が注目を集めていきています。

弊社では現在、全ての食品リサイクル対象物をメタンガス化工場に搬入しておりますので、同じリサイクル率でもGHGの発生の少ないということでご好評を得ております。

とは言え、発生抑制も食品リサイクルとして認められておりますので、先ずは「出さないこと」を最優先にお考えになって、その先をメタンガス化にしてみてはいかがでしょうか。

メタンガス化が最もSDGs的に優れている

GHGは、京都議定書で二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF₆)。2013年の第二約束期間から、三フッ化窒素(NF₃)も加わり計7種と定められており、食品リサイクルを推進していく過程で発生してしまいます。

  • 堆肥化の場合

食品残渣物の熟成(発酵)の過程で大気中にGHGが大量に放出されます。堆肥化の特性上、GHGの発生は避けて通れないので仕方がないことなのですがSDGsの観点から見れば「違う方法=メタンガス化」を選択するとGHG排出量の抑制に貢献が可能です。

  • 飼料化の場合

多くの飼料化施設で用いられている方法が「天ぷら方式」です。これは食品残渣物を油で揚げて水分を飛ばし乾燥させる方法ですが、油で揚げる際の熱源にGHGが発生してしまいます。堆肥化同様に、「違う方法=メタンガス化」を選択するとGHG排出量の抑制に貢献が可能です。

  • メタンガス化の場合

食品残渣物を発酵させるところまでは堆肥化と同じですが、メタンガス化の場合にはこの発酵の際に出てくるGHG(主にメタンガス)を大気中に放出するのではなく、それを燃料として利用するので燃やした際に出るのは主にCo2だけということになり、前述の堆肥化、飼料化に比べてGHGの発生が最も少ないことが報告されています。(平成31年農林水産省による「食品リサイクルについての調査」より)

この報告書では、堆肥化、飼料化、メタンガス化の食品リサイクル方法をライフサイクルアセスメント【LCALife Cycle Assessment(ある製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)又はその特定段階における環境負荷を定量的に評価する手法である。LCAについては、ISO(国際標準化機構)による環境マネジメントの国際規格の中で、ISO規格が作成されており、こうした流れを受けて、わが国の企業でもCSR報告書などでLCAが取り入れられている。】の観点から比較したもので、これによれば「メタンガス化」が最もSDGs的に優れているリサイクル方法と言えます。

ですから、既に何らかの食品リサイクルを行っている企業の皆様も、リサイクル方法を変更するだけでGHG及びCo2の発生が抑制されますので、是非ともご相談下さい。

2 RPF(固形燃料)の活用

RPF固形燃料

RPF」とは Refuse derived paper and plastics densified Fuel の略称であり、主に産業系廃棄物のうち、マテリアルリサイクルが困難な古紙及び廃プラスチック類を主原料とした高品位の固形燃料です。石炭やコークス等、化石燃料の代替として、大手製紙会社、鉄鋼会社、石灰会社など多くの産業で御好評をいただいております。

RPFの特徴

  • 品質が安定
  • 発生履歴が明らかな産業廃棄物や選別された一般廃棄物(分別基準適合物相当)を原料として使用しているため、品質が安定している。
  • 熱量のコントロールが可能
  • ボイラー等のスペックに応じ、古紙と廃プラスチックの配合比率を変えるだけで容易に熱量変更可能。
  • 高カロリー
  • 原料として廃プラスチックを使用しているため熱量が高く、石炭及びコークス並みで化石燃料代替として使用可能。
  • ハンドリング性が良い
  • RPFは固形で密度が高い為、コークス、粉炭等と同等の利便性をもち、貯蔵特性および輸送効率にも優れている。
  • ボイラー等燃焼炉における排ガス対策が容易
  • 品質が安定し、不純物混入が少ないため、塩素ガス発生によるボイラー腐食や、ダイオキシン発生がほとんどない。硫黄ガスの発生も少なく、排ガス処理が容易。
  • 他燃料に比較して経済性がある
  • 現状で石炭の1/41/3という低価格な再生可能エネルギー。将来負担するであろう排出権購入の費用削減。灰化率が石炭に比べ1/3以下となる為、灰処理費が削減可能である。
  • 環境にやさしい
  • 総合エネルギー効率の向上と化石燃料削減によりCO2削減など地球温暖化防止に寄与。

(一般社団法人 日本RPF工業会ホームページより:弊社加盟団体)

 

生ごみ等の有機物、塩化ビニール、金属・ガラス等の不燃物、ティッシュペーパー・ペーパータオル等の衛生用紙はRPFにはできませんが、レシート等に使用されている「感熱紙」、ビニールが貼り付けてある「窓付き封筒」、ラミネート加工した「POP用紙」、伝票等に使用されている「カーボン紙」「ノンカーボン紙」等々の「可燃ごみ」として焼却処分せざるを得なかったごみをリサイクルすることが可能です。

RPF化することによりCo2約30%削減

今まで「焼却処分」=廃棄していたこれらの物がリサイクルされれば、リサイクル率がその分UPできるということになります。また、RPFの特性上、紙類とビニール類を分別する必要がなく、同じ容器に入れるこができるので、職場の皆さんの負担が少なく、また容器の省スペースにも役立ちます。ちなみに、RPFは石油や石炭と比較してCo2の発生が約30%削減されますので、天然資源の枯渇防止と地球温暖化防止(Co2の発生抑制)に有効なことが認められています。

↓RPFに関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
廃プラスチックリサイクル問題を 解決する、廃棄物固形燃料RPFとは?

年間72tもの廃棄物が焼却処理

リサイクルできない紙類の発生量は、大手スーパーマーケット様の平均的な大きさの店舗では1日あたり約10㎏前後と言われています。(ティッシュペーパーやペーパータオル等の衛生用品系紙を除く)年間では3,600㎏にもおよび、20店舗では72,000㎏もの紙類がリサイクルされずに焼却処分となっています。

いろいろなリサイクル(食品リサイクル、段ボール、発泡スチロール、トレー、缶、ビン、PETボトル、牛乳パック、廃油、魚腸骨等)を推進していて「頭打ち」或いは「もっとリサイクルを」とお考えのご担当者様は、RPF(固形燃料)という選択肢もありますので是非ともご相談下さい。

3 廃棄物関連各種書類のペーパーレス化

CO2の雲

低炭素化社会の構築に向けて

今までの環境方針では「ごみを減らそう」、「リサイクル率を上げよう」でしたが、SDGsになるとそれだけでは片手落ちです。SDGsで求められているのは、この二つだけではなく「GHG発生の削減」も加える必要があります。

では、GHGの発生抑制とはなんでしょうか?

分野によって様々ではありますが、CFP(カーボンフットプリント)【Carbon Footprint of Productsの略称で、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みです。LCA(ライフサイクルアセスメント)手法を活用し、環境負荷を定量的に算定します。

事業者と消費者の間でCO2排出量削減行動に関する「気づき」を共有し、「見える化」された情報を用いて、事業者がサプライチェーンを構成する企業間で協力して更なるCO2排出量削減を推進すること。「見える化」された情報を用いて、消費者がより低炭素な消費生活へ自ら変革していくことを目指します。】の概念を強化していくことが重要です。

その究極は「リデュース・リユース・リサイクル」の「リデュース」(発生抑制)です。

特に廃棄物関係の場合「ごみゼロ(0)」は難しいとは思いますが、ゼロに出来る物がいくつかあります。

①産業廃棄物管理票(マニフェスト)の電子化

電子化

直行用の産業廃棄物の紙マニフェストは、処分が完了すると皆様、或いは各店舗様に戻ってきます。収集運搬業者や処分業者が必要な物を切り離しますが、1組辺りおおよそ「7g」の紙が戻ってきて、5年後(保管の義務期間)を過ぎると廃棄することになります。

例えば、5年後にまとめて1年分を廃棄すると、7g×360日分=2.52㎏。20店舗では50㎏の紙が捨てられることになりますが、これを電子マニフェストに切り替えれば「ごみゼロ」になります。(確認伝票分を除く)

登録件数にもよりますが、経費が紙マニフェストよりも安くなる上、半期毎の煩わしい報告、紙マニフェストの管理・保管場所が不要になりますので、良いこと尽くめです。産業廃棄物の紙マニフェストを使用している方は、切り替えてみてはいかがでしょうか。弊社では、産業廃棄物の収集運搬と中間処分の両方が電子マニフェストに対応しています。

②電子契約の推進

電子契約

昨今、SDGsの普及で注目されているのが「電子契約」です。

電子契約は、紙の契約書の代わりにWordExcelの文章をPDF化して専用メールで送信して承諾(タイムスタンプ電子署名)をもらえば契約完了です。

印鑑の代わりは「責任者様のメールアドレス」なので承認の際に、ご担当者様以外にもその方に専用メールをお送りする必要はありますが、「受け取る側」は特別なパソコンソフトのダウンロード等は不要で、なんと!「収入印紙」も不要です。

収入印紙が不要なのは、裁判でも認められていますのでご心配なく。また、事業系一般廃棄物の場合は東京二十三区清掃協議会に契約書のコピーを提出しますが、その際に押印がないと契約締結とは認められませんが「契約証明書」も発行できますので問題はありません。

 ちょっと脱線しました。

書式にもよりますが、これによって製本した事業系一般廃棄物の契約書1部で約20g、産業廃棄物の契約書1部で約40gの紙が削減できます。もちろん、段ボールの売買契約書や食品リサイクルの契約書にも使えますのでかなりの紙と収入印紙代、管理・保管場所が不要になります。私もご多分に漏れず「アナログ派」ですが、「電子〇〇」を上手く活用すれば「ごみゼロ」に近付けることに気付き、頑張っています。弊社では、新規お取引のお客様から電子契約を開始し、既存のお取引先様には随時切替えをお勧めしています。

③廃棄物運転日報をタブレット化

弊社では数年前から「運転日報」を廃止し「タブレット端末」を導入し、全ドライバーに使用させています。

運転日報に必要な店名、住所、回収時間の他、回収する廃棄物の種類、数量等の全てを網羅してありますのでトラブル防止ができる上、今までの様な紙の日報が不要ですのでペーパーレスになりました。また、入力されたデータは帰社の際にWi-fiを通じて会社のパソコンに取り込まれますので、転記や転記の際の誤記の防止(運転日報からのパソコンへの入力作業等を含む)と作業時間の短縮にもなりました。

清掃工場に搬入の際、運転日報を受付け担当者に見せて受付印をもらっていますが、タブレット端末を見せれば問題はありません。もちろん、一般廃棄物の許可更新に伴う東京二十三区清掃協議会の立入検査の際も、必要な部分をプリントアウトすればいいので心配はありません。

必要事項についてはきちんと入力させていなければなりませんが、タブレット端末の使用は認められていますのでご安心下さい。

このシステムは「牛若丸」(その他もあります)で開発していますので、ご興味のある方はそちらにお問合せ下さい。

まとめ

SDGsを有利進めるマル秘テクニック3選

 1.食品リサイクル方法の変更
 2.焼却から固形燃料へ変更しCo2約30%削減
 3.廃棄物関連各種書類のペーパーレス化

 

当社ではSDGsの効果を上げるべき方策をたくさんご用意しております。ご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください。

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利根川 靖

監修

利根川 靖

株式会社利根川産業の二代目経営者。業界歴20年で東京都廃棄物の組合理事も兼任。
廃棄物業界を盛り上げようと地方の業者と連携。得意分野はITツールにて生産性を高めること。
これからの若い人材が業界で働きたくなる魅力づくりに奮闘中。

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